大気の構造
大気の組成
待機中の水蒸気(H2O)の量は空間中にも時間的にも大きく変動する.水蒸気の大部分は地表付近に存在する.特に,水温の高い熱帯の海上では水蒸気の割合は質量比4%程に達する.これは気温が高いと飽和水蒸気量が大きいからである.
水蒸気は蒸発するときに周囲の大気から奪った熱(蒸発潜熱)を凝縮して,液体や固体の雲粒になるときに開放して,周囲の大気を暖める.このため,水蒸気は大気の熱収支や運動に重要な役割を担っている.
気圧
気圧は高さと共に減少する(海面の平均気圧:1013hPa,圏界面:200 - 300hPa,成層圏上面:1hPa).これは気圧がある高さより上にある大気に働く重力によって生ずるためである.従って,地球大気の全質量の約7〜8割が対流圏に存在する.
大気の層構造
地球の大気は温度の構造により,対流圏,成層圏,中間圏,熱圏の4層に分けられる.
1.対流圏:
最下層の対流圏は10km程の厚さで大気の全質量の約8割を占める.自然環境を左右する様々な天気現象のほとんどは対流圏で起こっている.
2.中層大気:
対流圏のすぐ上の成層圏では,対流圏とは逆に上空ほど気温が高い(高度20 - 30kmに存在するオゾン層でオゾン(O3)分子が太陽からの紫外線を吸収し,大気を加熱するから).
気温は,成層圏界面(高度約50km)で極大となる.
極渦:北半球ならば北極側,南半球ならば南極側の極側にある低温で巨大な低気圧のこと.
対流圏に比べて,成層圏の循環は安定しているが,冬季には対流圏からの大規模な波動の影響で極渦が一時的に崩壊し,極域の気温が4 - 5日のうちに30 〜 40℃も上昇する成層圏突然昇温がたまに起こる.
成層圏の上にある厚さ約30kmの中間層では上空ほど気温が低い.高度約80kmの中間圏界面付近では,高緯度地域で夏季に上昇気流が強まり,冬季よりもさらに低温になる.ここで,形成された氷粒が夜光雲として観測される.
成層圏と中間圏を併せて中層大気と呼ぶ.
3.熱圏
中間圏の上の熱圏では,高さと共に気温が上昇し,高度200km以上では600℃を超える.電子密度が特に高い電離層が,熱圏には複数存在する.
流星:太陽系内に漂う塵が高速で熱圏に突入し,発光する現象.
熱圏ではオーロラ(極光)という発光現象も起こる.これには熱圏の外側に広がる磁気圏に入り込んだ高揚風の荷電粒子である.
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