2015年1月18日日曜日

[Earth Science] 火山と地震 地震

地震は地殻やマントルに蓄積したひずみが一瞬で解放されることによって発生する.地震が起きると,地震波が地球全体に伝わっていく.この地震波から

  • 揺れの大きさをはかるものさしである震度
  • 地震の開始地点である震源
  • 地震の規模をはかるものさしであるマグニチュード

が求められる.また,地下にどのような力が加わっているのかも知ることができる.

地震波発生のしくみ
地震発生と同時に,断層面上にある震源から地盤のズレが開始する.ズレは約 3km/s の速度で拡がっていく.このズレによる衝撃により地球が揺らされ,地震波となり,地球の中を伝わっていく.

震度
震度:地震による各地点の揺れの強さをはかるものさし.
日本で使用されている震度階級は,10段階の気象庁震度階級である.

地震波の性質
P波:初めに観測点に到達する波(岩石中を伝わる速度:約5$\sim$7 km/s).
S波:次に観測点に到達する波(岩石中を伝わる速度:約3$\sim$4 km/s).
表面波:S波の後に地球表面を伝わって観測点に到達する波(岩石中を伝わる速度:約5$\sim$7 km/s).

震源の決定
震源:地震による断層のズレは,断層上の断層上の1点から開始する.この開始点を震源という.
震央:震源の真上の地表の点.
震源距離:震央から観測点までの距離.
震央距離:震央から観測点までの距離.
初期微動継続(P-S時間):P波とS波の到着時間の差.

震源距離 D[km] に比例して,初期微動継続時間 T[s] は長くなるので
$D = k T$ (震源距離に関する大森公式)
となる.比例定数 $k$[km/s] は地震波の速度によって決まり,地域によって異なり,日本付近では6$\sim$8km/s である.

初期微動継続時間 T がわかれば,震源は観測点を中心とした半径Dの半球上に存在することになる.従って,3つの観測点で初期微動継続時間を調べれば,震源の位置を決定できる.

地震の情報
地震を表現する基本的な情報は,震源(地震の開始点),震源時(P波とS波の到達時間から求めることができる),マグニチュード(M,地震の規模を表現するものさし)である.
マグニチュードは,観測された地震波の最大振幅を震源までの距離によって減衰した効果を補正した値Aの常用対数によって定義され
$M = \log_{10}A$
となる.一方で,断層運動のエネルギーEからもマグニチュードを求めることができる.このときマグニチュードは
$M = \cfrac{1}{1.5} \log_{10}E + c$
となる.つまり,マグニチュードが1大きくなると,地震のエネルギーは約32($= 10 \sqrt{10}$)倍大きくなる.

本震と余震
本震:地震の群れで最も大きい地震.
前震:本震より前に起こった地震.
余震:本震の後に起こった地震.本震によって生じた局所的な歪みを解消するために発生していると考えられている.
余震域:余震が発生する領域.余震域は本震で断層がズレた領域とほぼ一致する.

震源メカニズム
震源メカニズム:地震を起こした断層がどのように動いたかという地震波が発生するメカニズム.
一般に断層運動は地震が発生した地点の力の状態を反映している.

  • 断層が地表に到達している場合,地表調査によりどのタイプの断層なのかを調べることができる.
  • 断層が地表に達していない場合は,地震波から初動を調べ,どのような断層運動だったかを推定する.
図のように断層が動いた時について考える.

断層の動きを震源メカニズム解で表す

図において,領域AとCを通るP波を考える.
断層のズレにより,押し出される領域なので,疎密波であるP波の初動は,外に押し出される形となる.逆に領域BとDを通るP波の初動は中に引き込まれる形になる(押し,引きの分布によって4つの領域に分けられる).

断層運動は3次元で考える必要があるので,震源を中心とする球(震源球)を考える.

震源球に押し引きの分布をプロットすると,4つの領域に分けることができる.4つの領域を分ける平面は2つあるが,そのうちの1つが断層面となる.もう1つの面は,補助面と呼ばれる.この球の下半分を2次元に投射したものを震源メカニズム解と呼ぶ.
P波初動の分布と震源メカニズム解

この震源メカニズム解からは,2つの断層面が求まるが,実際にどちらの断層面が動いたかは判断できない.しかし,この震源メカニズム解から正断層,逆断層,横ずれ断層のいずれかであるかを判断できる.

震源から押し出される領域の中心を結ぶ軸をT軸,震源へ引き込まれる領域の中心を結ぶ軸をP軸と呼ぶ.震源はT軸方向に引張られており,P軸方向に圧縮されている.

地震の起こる場所
地震が活発に起こっている地域は,プレート境界に沿って線状に並んでいるように見える(2つのプレートが別々の方向にすれ違っているために生じる歪みを地震が解放する).

深層地震面
海底で沈み込むプレート(スラブ)は周囲のマントルと比べて温度が低い.よって,沈み込むプレート(スラブ)の内部でひずみを蓄えることができ,地震が発生する.深い場所で発生する地震のほとんどは,沈み込みプレート(スラブ)内部で発生する地震である.沈み込むプレート(スラブ)内部のみで発生するために深発地震は面状に分布し,これを深発地震面という.
沈み込むプレート(スラブ)で地震が発生する領域は,二重(スラブの上面と下面)になっており,この2つの面を二重深発地震面と呼ぶ(上の面は沈み込む方向に圧縮されているタイプの地震が下の面では沈み込む方向に引っ張られているタイプの地震が発生する).

地震の原因
深い所で発生する地震の場所は,プレート境界とプレート内部で発生するものに分けられる.
プレート境界で発生する地震は,プレート間の動く方向のズレを反映する.プレートとプレート間の一部は強く固着して,膨大なひずみが蓄積されており,そのひずみが地震時に一気に解放される.このように固着していて,地震時に大きくずれる領域をアスペリティという.


変動地形
海岸段丘:海岸沿いで見られる何段もの階段状の地形.巨大地震の時にそれまで海面すれすれだった海食台(波食台)が隆起して陸地となることを繰り返して海岸段丘が形成される.
河岸段丘:大きな河川の所々に残された段々の地形(過去の河川の跡で,一般に高い位置の段丘ほど古い時代のもの).
活断層地形:内陸で大きな地震が起きると,地表面がズレることがある(地震断層).これが繰り返し起きて地表に生じた地形.
活断層:最近数十万年間に繰り返し活動した地震断層で,今後も活動する可能性があるもの.

過去の地学関連のメモ
地球の構成と内部エネルギー
地球の形と重力,・重力異常,・地球の磁気,・重力異常
地球の内部
地球の内部の状態と構成物質,・地殻熱流量
プレートテクトニクス
プレートテクトニクス成立の歴史プレートテクトニクスプルームテクトニクス地震

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